Walachia バラキア
モルダビア・ワインが、ルーマニアの歴史を感じさせる
世界に類を見ない「ビンテージ風ワイン」の産地とすれば、
バラキアはまさに「重装備」されたワインカントリーといえる。
とはいえ、白ワインや、香りの強いワインに無いとされる
自然の味わい、天然の恵みの味を失ってはいない、良質のワインを作り出しているのだ。
「プイエトロアセーレ」からドナウ川河口の「ヴァンジュ・マーレ」や
「ディアル・ビイラー」のワイナリーまで、ワイン畑は延々10万ヘクタールにもおよぶ。
長さ60kmにわたるディアルマーレ地方は、各種ワインの見本市といえる
「ウルラティ」「バレア・カルガレアスカ」そしてト「ハニ」などが有名で、
ルーマニア一番の赤ワインの産地として知られ、
特にプラホバ地方で作られる「Black Feteascasca」種は、スター産種である。
ルーマニア観光省はこの一帯を「ワインロード」として世界に広報している。
Tohani トハーニ
ワインにロマンスはつきもの。
とくに当地の領主「ニコラエ王子」と美人だが平民に過ぎなかった
「ドーレット」との恋物語は「トハーニ」の名を一躍有名にした。
貴族の称号を捨ててまで、ドーレットとの結婚に走ったニコラエ王子のラブ・ストーリーは
2つの世界大戦のはざまという時代背景にもあおられて世間の耳目を集めたが、
その王子の名を冠したワインが今でも「Princely」として残っており、
原種「ビュジオアカ・デ・トハイ」「ピノノアール・キャバネ・スーベニオン」
そしていわずと知れた「ブラック・フェィティアスカ」種から生産されている。
また、時代に翻弄されながらも愛を貫いたヒロイン「ドーレット」
の名前を拝したワインも「ブラック・フェティアスカ」「メルロー」
「ネグル・デ・トハニ」「イタリアン・リースリング」「スーベニオン・ブランコ」
「マスカット・オトネル」などから生産されている。
Urlati ウルラティ
「悲劇のゴールド・プリンス」と称された領主、
「コンスタンティン・ブランコビアーヌ」が所有していたワイナリーが今も現存しており、
ぶどう種は「キャバネ・スベニオン」と「ピノノール」、それに「メルロー」。
さらに白ワインのぶどう種として代表格といえる「ブラック・フィティアスカ」がある。
「ブラック・フィティアスカ」はブラックベリーの風味を持ち、
アルコール度数は12〜12.5度だが、グラスにそそいだ瞬間そのまろやかな味を堪能できる。
オーク樽の中で、時の流れに身をまかせて熟成すればするほど、
料理やロースト・ピーナツと抜群の相性を醸し出す一品だ。
Valea Calgarerasca ヴァリア・カルガリラスカ
デアル・マーレのワイン畑は、いくつもの谷をまたいだ山間にある。
その土地に住む修道僧たちが丹精込めて、ぶどうの収穫とワイン作りにはげみ、
いつしか、ワインの里「バレア・カルガリアスカ」と呼ばれるようになった。
生産品種は、「カバネー・スーベニオン」であり、その味たるやまるで、
旧友に再会して、肩を叩き合うようなドシっとした重厚さが漂う。
カバネー本来の強みに、ねばりを加えたワインと仕上がり。
まさに人生の晴雨にかかわらず、いつもそばにおいて置きたい味わいのワインといえる。
Dragasani ドラガサーニ
肥沃な大地に恵まれたオルテニア地方を見渡すとき、
かつて高名な百科辞典編者、B.P.ハスデウー氏が言った言葉を思う。
「かえすがえすも、つくづくも、ワインはここにあるべし。ルーマニアに」
「サンブレスティ」「コルコバ」「バンジュ・マレー」などは赤ワインの産地だし、
ドラガサーニも、献上ワインの産地として知られていた。
事実このドラガサーニのワインは、様々な
ワイン・コンテストで輝かしい成績を収めている。
1868年パリ、1898年ボルドー、1908年ミラノ、そして
1912年グランドでの入賞などがあります。
品種としての「Tulburelul de Dagasani」は現在でも、
白ワイン・赤ワインどちらのセレクションも
ヨーロッパ市場で広く受け入れられている一方、
「ソーベニオン・ドラガサニ」は
「ゆっくりと時間をかけて、語りかけながら飲むワイン」
としてこちらも好評である。
Banat バナト
19世紀初頭から生産され始めた「バナト産ワイン」は、
当時のウイーン公国に大変重宝された歴史がある。
特異な地形から生まれる「バナトワイン」は、多くの特徴を持つ。
スイスのチロル地方を思わせる、標高の高い高原地帯にワイン畑が広がるかと思えば、
テレミアマーレやトムナティックのように、砂礫質の土地も見られる。
とりわけバナト山脈にいたる平原と、丘陵地の間隙を縫って広がるワイン畑として
有名なのが「Silagiu-Buziau」である。
Recas レカス
ティミショアラからは目と鼻の先にあるレカス・ワインは通称「川に挟まれた村」にある。
「カバネ・スーベニオン」「ブーグンド・マレ」「メルロー」
「カドシャ(イタリアン・リースリング)」「ローヤル・フィティアスカ」
そして「クリアタ」などのぶどう種が使われている。
黄色い「クリアタ」などは、ワイン通でも、ほとんどの人が聞いたことも無いだろう。
この地独自の品種で、大きくて硬い実が、ややドライな感じがする食卓ワインへと変貌する。
「最初に目をつけた女の子を、口説き落とすような」感じの躍動感あふれたワインと言える。
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