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サプンツァ陽気なお墓

「サプンツァの陽気なお墓」というフレーズを、テレビや写真集で目にしたことがある方もいるでしょう。最初にその言葉を見た(もしくは耳にした)時、「お墓」と「陽気」という想像を超えた組み合わせに、あなたは興味を抱いたはずです。大抵、私たちは「お墓」と聞くと、悲しみ・別れ・断絶・沈黙・無機質…等のような、静的で暗いイメージがどうしても付きまといます。しかし、ウクライナとの国境近く、ルーマニアのマラムレシュ地方にあるサプンツァ村には、そのようなお墓への暗いイメージを真逆にするような取り組みをした人物がいたのです。

その人物の名前は、スタン・イオン・パトラシュ。1935年に始まった彼の作る独特の墓標は、サプンツァ村を「陽気なお墓のある村」として一躍有名な観光スポットに変えたのです。そして今では世界中から、ここの墓標を見るために観光客が訪れるまでになりました。



では、そのような人々を惹きつけて止まない墓標とは一体どのようなものなのでしょうか。

まず全体の形ですが、一番上では二枚の板がつり合い、その下には一般的な十字架よりも幾分短めの十字架があります。それはまるで、十字架に屋根がついたようです。その屋根付きの十字架を上部とするならば、この墓標の主部は、その下に続く縦長の長方形の部分でしょう。というのも、そこには故人が描かれ、絵の下には短い詩が刻まれているからです。この故人の肖像と詩こそが、サプンツァのお墓の最大の特徴です。

肖像といっても、写真のように鮮明に故人が描かれているわけではありません。どちらかというと絵本に登場してくるような、写実的というよりもデフォルメされた人物が描かれています。総じて温かみのあるキャラクターのように描かれる故人ですが、描かれる構図や顔つきは異なっています。
主に、彼らの生前の職業がわかるように描かれるのですが、同じ職業でも異なる描かれ方をされており、一人一人の個性はしっかりと伝わってきます。職業だけでなく、生前の好きなことや特技が絵の題材になることもあります。墓標にある彼らの絵を見ているだけで、なんとなく彼らの生前を知っているかのように感じられるのは不思議な体験です。

墓標を飾るのは絵だけではありません。傍らに刻まれている詩も、故人の人生を要約する大事な装飾となっています。故人の絵と詩、この二つの要素は様々な形のレリーフで覆われ、彩色され、鮮やかに個性を主張しています。しかしどの墓標も、青を基調とした彩色がなされているれていることに気づくでしょう。青い地の上に赤や黄色などの強い色が置かれることで、より赤や黄色の印象が増し、陽気な印象を与えるのかもしれません。



村の教会の墓地には、この陽気な色彩のクロスが所狭と並んでいます。それらを眺めていると、私たちが抱いているお墓への暗いイメージが払拭されるような気がします。それと同時に、故人である村人の生活の輪郭がはっきりと浮かび上がってきて、なぜだか親近感を得ずにはいられません。
お墓を見るだけで、故人の人生に寄り添える。このよう故人を身近に感じられるというのは、残された者にとっては大きな救いとなるに違いないでしょう。墓標の明るい色彩で彩色されたレリーフは、故人を飾るというだけでなく、見る者に陽気な気持ちを運んでくれる役割もあるのかもしれません。それはまるで故人からの励ましのようにも思えます。
おそらくスタンはそのように考えて、見る者も癒せる墓標を作ったのでしょう。この創設者であるスタンの家は現在記念館となっており、一般公開されています。サプンツァの陽気なお墓に訪れた際には、ぜひ記念館のほうにも足を運んでみてください。
スタン自身は既に亡くなってしまいましたが(彼のお墓もサプンツァにあります)、彼の遺志を継ぐ弟子たちが今も墓標を作り続けています。



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