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ルーマニア国立美術館
ブカレストの革命広場の前に、1937年に開館された国立美術館があります。以前は、ルーマニアの王室宮殿であったため、外観から内装まで見応えが充分あります。国立美術館の南側には、ヨーロッパ美術館が。国内外の作品を観ることができ、展示されている作品の多くが王室のコレクションだそうです。
1989年のチャウシェスク失脚を導いたルーマニア革命による革命広場の銃撃戦で、被害を受けました。
ルーマニア国立美術館では、ルーマニアの14世紀から19世紀までの所蔵品が主に展示されています。ルーマニア三大画家と言われるアンドレスク、グリゴレスク、ルキアンを含む近現代ルーマニア美術作品を目にすることができます。イコンのコレクションや、壁画、刺繍飾りの展示物など、ルーマニアならではの作品も見逃せません。
一方のヨーロッパ美術館では、ヨーロッパ美術の変革を追うことができます。フランドル派のルーベンスによる17世紀の絵画に、スペインのエル・グレコの活躍を反映する作品ら、オランダのレンブラント、フランスのルノワールやシスレーなどの著名で幅広い作品が時代ごと所蔵されています。ロダンやブールデルの彫刻作品も。世界の傑出した作品の所蔵数は、ルーマニアの美術館でもトップクラスです。
国立軍事博物館
この軍事博物館も首都ブカレストに位置しています。
1923年に当時のルーマニア国王、フェルディナンド1世 (1865-1927)により設立されました。
ルーマニア民主革命に関連する展示物だけでなく、古代から近現代のルーマニアの軍事や民族抗戦に関わる歴史がカバーされています。三階建てのこの博物館は展示量も豊富で、裏庭奥には戦車やミサイル車だけでなく、ルーマニアの航空機産業のパイオニアと言われたアンリ・コアンダ(1886-1972)が設計した世界初のジェット機 コアンダ=1910のレプリカも所蔵されています。
残念ながらルーマニア語のみで説明されている展示物がほとんどですが、石器時代の武器・武具の展示に始まり、オスマン朝時代の交戦、そして世界大戦、1989年の市街戦などが、要塞のモデルやレプリカ、ジオラマ、イラストなどにより解説されています。
なかでもルーマニア民主革命の様子は、ブカレスト銃撃戦の写真や、当時反チャウシェスクのシンボルとなった、国章が切り取られた社会主義体制時代のルーマニア国旗などによって、革命の犠牲と跡を物語っています。世界大戦後にルーマニアを含んだ東欧が歩んだ、私たちに馴染みの薄い民主化革命への闘争と犠牲を改めて学ぶ機会にもなります。
農村博物館
ブカレストの広大なヘラストラウ公園内の南側に位置する農村博物館は、ルーマニアならではの博物館の一つかもしれません。都市ブカレストで、フォークロアの魅力を覗くことができます。
1936年に、ルーマニアの民俗学者によってルーマニア全土の農村から、農家や教会、水車などが再建築され展示されたのが始まりです。世界規模でも、屋外に設置された最初の民俗学博物館の一つでもあるそうです。現在100,000平方に渡るエリアに、約346棟が再現されていますが、今から3世紀前までのルーマニア各地の人々の生活の違いが、建物のスタイルや特徴に反映されています。
ルーマニアを訪れた際には外せない観光地の一つで、一年で50万人もの観光者が訪れるそうです。さらに、1994年にはヨーロッパの最高の博物館として表彰されたことも。
ルーマニアにとって田舎農村の文化や伝統は、貴重な遺産なのですね。この農村博物館も世界大戦や、革命の戦火を耐え抜いたように、何世代にも渡ってルーマニアの人々が、これら建築物などの遺跡を様々な方法で守ってきたことがわかります。この農村博物館がある公園には人口湖もあり、その広さと美しさは散歩コースにもおすすめです。
ブルッケンタール博物館
商業都市シビウの大広場西側に、近代ヨーロッパの階級社会を観ることができるブルケンタール博物館があります。
かつてこの博物館は、ハプスブルクのトランシルヴァニア総督サミュエル・ブルッケンタール男爵(1721-1803)の邸宅でした。後期バロック様式で、1785年に完成した宮殿です。彼の死後1817年に一般開放されたため、ルーマニア最古の博物館であり、かつルーマニアで最高峰の博物館であると言われています。ブルッケンタール男爵はマリア・テレジアの顧問でもあったために、彼のコレクション、家具調度品に、内装はまさに上流階級の遺品そのものです。ブルッケンタール一族の銀の食器も。
この博物館には絵画が中心に展示されています。建物の一階にはまず、トランシルヴァニアの彫刻などが。そして二階には、豪華なインテリアと、主にルーマニア絵画、ルーマニアの三大画家の作品が陳列されています。そして三階には日本人にも馴染みのある、ブリューゲル、ベロネーゼ、カラッチ、ヴァン・ダイクなどの、フランス、イタリア、スペイン、そしてフランドル派などの幅広い作品が所蔵されています。15世紀から18世紀までの1,200にのぼるヨーロッパの作品が納められています。
モルドバ国立総合博物館 (ヤシ市の文化宮殿)
モルドバの古都ヤシにある文化宮殿は、歴史館・美術館・民俗館・科学館で構成されるモルダヴィア国立総合博物館となっています。
中でも美術館は、ルーマニアで最大の規模を誇り、保管されている作品の数も一番です。
およそ8,700点もの作品が、この美術館に保管されています。ルーマニア三大画家と言われるアンドレスク、グリゴレスク、ルキアンを含む近現代ルーマニア美術だけでなく、西欧作品も展示されています。なんといっても、フランソワ・ブーシェ、ニコラ・プッサン、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ、アンソニー・ヴァン・ダイクらによる絵画も鑑賞できるため、足を運ぶ価値あり。ルーマニアの歴史や美術をひとめ覗くにも博物館内は大変実物です。
歴史館は、先史、中世史、近代史、現代史と、4つの時代のセクションに分けられています。各時代に関係する貨幣や、工芸品に当時の資料や本など、全体で4万8千点もの展示物が公開されています。
民俗館では、モルドヴァの人々の生活を支えてきた品々を覗くことができます。
博物館そのものだけでなく、ヤシの文化宮殿は、17世紀のネオゴシック様式によりルーマニアの文化宮殿の中でも、非常に美しい宮殿の一つです。その歴史として、ヤシの文化宮殿は、1432年にモルダヴィア公により建設されました。
1906年に大規模再建が始まるも、第一次世界大戦中に建設は中断され、1925年にルーマニア王フェルナンド1世らにより再度完成しました。
1955年までは、行政機関として使用されていたそうです。再建時当時から現在に至り、他に劣らない見事な建築として評価されています。
再建により、新古典主義とネオゴシックが融合したその繊細な建築と大理石とシャンデリアが輝く豪華な内部は、まるでおとぎ話の世界を訪れた様に感じさせてくれます。
贅沢な調度品に298の部屋と、128もの窓。日没後には建物全体の正面壁と時計台のステンドグラスが灯され、ヤシの街に煌めく非常にセンチメンタルな景色となります。
そんなモルダヴィア国立博物館は、モルドヴァで一番 <ロマンチック>であり、文化が発展していたと言われるヤシをまさに象徴する様な存在です。
ジョルジュ・エネスク国立博物館
ジョルジュ・エネスク(1881-1955)は、20世紀の重要な作曲家の一人かつ、最高のヴァイオリニストとして評価されています。有名な作品として、「ルーマニア狂詩曲」と管弦楽組曲が挙げられます。そんなジョルジュ・エネスクの国立博物館は、宮殿の敷地の中にあります。1901年に当時のブカレスト市長によってボザール様式(ヨーロッパ古典様式)に建てられ、実際に1937年からエネスクと妻のマリアが、パリに旅立つまで暮らしていました。エネスクが亡くなった次の年の1956年から博物館としてオープンしました。
博物館では、エネスクに関連する写真、楽譜、絵画に彫刻作品、そして何よりも、生前に彼が演奏していたピアノにヴァイオリンまでが三部屋に渡り、一般公開されています。
もちろん内部も魅力的ですが、外観も非常に豪華で、ブカレストの美しい歴史的建造物の一つと言えるでしょう。
クラシックファンでなくても、美しい敷地と博物館の外部装飾は見応えがあります。
ジョルジュエネスクに関する博物館は、ブカレストのみならず、シナイアとバカウにも。


