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▲トップへルーマニア ―伝統と素朴な民衆文化と出会う レビュー
日本人で一番知名度が高いルーマニア人は、誰だろうか。年輩の人々ならば、オリンピァクの体操競技で活躍したコマネチ選手をあげるに違いありません。国際政治に関心があれば、国のトJノに登りつめながら革命で失脚し、殺害されたチャウシェスク元大統領といったところでしょうか。しかし、もっと日本人の間で知られている「ルーマニア人」が実はもう一人います。作家のプラム・ストーカーが十九世紀末に書いた小説の主人公であり、その後に何度も映画になった吸血鬼ドラキュラです。彼が「ルーマニア人」であることを知らずとも、ほとんどの日本人が、ドラキュラ伯爵の名だけは知っています。
プラム・ストーカーの小説『吸血鬼ドラキュラ』のモデルは、ワラキア公ヴラド・ツェペシュ。ワラキア(ルーマニアの前身)の独立を守るために、オスマン・トルコに抗して戦った祖国の英雄です。しかし、見せしめのために打ち破ったトルコ兵の死体(?)を串刺しにして晒し者にしたことから敵に恐れられ、「串刺し公」の異名をつけられました・この東欧の歴史的人物の話と、もともと昔からギリシャ正教の世界にあった吸血鬼伝説が組み合わさって、ドラキュラが誕生したのです。
世界中からルーマニアに集まる観光客のほとんどはまず、ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』を携え、小説の舞台となったプラン城やビストリッツァの町を訪れます。さらにはトランシルヴァニア・アルプスの山中にあるドラキュラ公の居城ポエナリ城、ブカレスト近郊のスナゴヴにあるヴラド・ツェペシュの墓などといった「串刺し公ヴラド・ツェペシュの故地」にまで足を延ばします。
しかし、ルーマニアの魅力は、小説の中で生まれたドラキュラの世界だけではありません。ルーマニアには世界遺産にもなったブコヴィナ地方(北モルドヴァ)の修道院群や素朴な木造建築など魅力的な観光資産が数多くあるのです。そして何よりも魅力的なのが、ルーマニア正教が住民の生活に根を降ろした田舎の小さな町や村。その美しい風景と、そこに住む素朴で暖かい人々との触れ合いです。この国を一度訪れた人々がやみつきとなり、何度も訪れることになる理由は、ここにあるのです。かくいう私も、その一人です。
情報も少ないこともあり、日本人にとってルーマニアは「違い国」です。観光で訪れる人もまだ少ない。しかし、一度ルーマニアを知れば、あなたも熱烈なリピーターの一人となると確信しています。この国には、そうした不思議な魅力があるのです。
飯田辰彦(いいだ・たつひこ)
静岡県生まれ。慶應大学文学部卒。旅行雑誌・写真雑誌の編集を経てフリーに。著書に「神の小さな土地」(河出書房新社)などがある。旅名人ブアクスの「イタリアの田舎町」「メキシコ古代遺跡とカンクン」「メキシコ中央高原」を共同執筆。
写真家 伊東ひさし(いとう・ひさい)
日本写真家協会会員。神奈川県横須賀市出身。学生時代よりデザイン研究所にて学ぶ傍ら、写真撮影技術を習得。日本写真学園・写真メーカー撮影会特別講師を経て、東京目黒にスタジオ設立。TVドキュメンタリー・対談番組などに出演。現在、自身の趣味を生かし世界のアーティスト達のCDジャケット、音楽誌、ファッション誌など幅広い撮影を手掛ける。
目次
- プロローグ 人々の生活に溶けこんだルーマニア正教の世界
第一章 ブカレスト
- ブカレスト 「バルカンの小パリ」と呼ばれたブカレスト
第二章 モルドヴァ地方
- モルドヴァ地方中世ルーマニア文化が花開いたモルドヴァ
- ヤシ 文化都市として栄えたモルドヴァの古都
- スチャヴァ 世界遺産の教会がある
- 【ルーマニアを知る】
- ガレを″継承″したグラスーアート
- ルーマニアの三大ワイン産地
- ブコヴィナ地方の修道院群世界遺産となったフレスコ画が外壁に描かれている
- ヴルカーニー・ノロイヨシ 地球離れした新名所
第三章 マラムレシュ地方
- マラムレシュ地方中世そのままの村落共同体が残る
- サプンツァ ’陽気な墓むc世界中に知られるようになった
- バイア・マーレ 十四世紀から金鉱の町として栄えた
- 【ルーマニアを知る】
- マラムレシュのアグローツーリズム
- マラムレシュの小さな村風物詩とも言える「木造教会」群
第四章 トランシルヴァニア地方心
- トランシルヴァニア地方 ハンガリー、ドイツ、ルーマニア文化が混在する
- シギショアラ 中世の面影が色濃く残る魅力的な町
- ビエルタン オスマンートルコに対決した要塞教会
- 【ルーマニアを知る】
- 「ドラキュラ」伝説の誕生
- トゥルグ・ムレシユ 要塞都市として発展した歴史のある
- ビストリツツァ 小説『吸血鬼ドラキュラ』の冒頭に登場する
- シビウ ドイツ人移民者の政治的中心地となった
- ブラショフ 観光客を魅了するトランシルヴァニアの古都
- プラン城 『吸血鬼ドラキュラ』の舞台
- シナイア ルーマニアきっての風光明媚なリゾート地
第五章旅の便利帳
- アテネーパレスービルトンーブカレスト(ブカレスト)
- ホテルーリド(ブカレスト)
- ホテルーピアトゥラーマーレ(ポイァナーブラショフ)
- ホテルーインパラトゥルーロマニロル(シビゥ)
- 力-サーワグネル(シギショァラ)
- ルーマニアのホテルリスト
- ルーマニアの観光名所
- 空のアクセス
- ルーマニア基本情報
- ルーマニア関連史年表/ルーマニア史


